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サポートエンジニアの採用活動: 候補者を見つけるには

エンジニアの採用については色々な人が書いているので、サポートエンジニアの採用について諸々書いてみる。

  • 前提
    • トレジャーデータでサポートエンジニアの採用活動をずっとやってきたのでそこでの経験がベースです
    • 他社の採用について詳しく知っているわけではありません。
    • グローバルで400人程度の会社規模。サポートチームでもグローバルで10数人規模の話です。
    • 採用活動は主に、東京・マウンテンビュー・バンクーバー・イギリスで実施してきました。

サポートエンジニアはどこにいるのか?

日本ではサポートエンジニアと募集して、自薦の応募で採用できることは稀です。 特に、日本のSaaS企業自体が稀なため、サポートエンジニアの経歴がある場合、外資系SaaS(Salesforce, AWS, Google, etc)のサポートエンジニアであることが多いです。さらに、自社で0からサポートエンジニアを育てるような企業は、マイクロソフトといった極めて巨大なIT企業が主であり、安定性も優れているため、そもそも転職市場にでてくることがあまりありません。さらに、外資SaaSの経歴がある場合には、給与レンジもそれなりに高いです。シニアなレベルのサポートエンジニアの場合には日本でも800-1000万前後の給与であるのが普通です。こうしたことを考えると、エンジニア経歴がある方を中途採用することを中心とした活動となります。

その一方で日本以外の採用のケースでは、SaaS企業がグローバルには数多あるため、募集をかけるとそれなりの数の候補者から応募がきます。しかし、古くからあるIT企業のサポートエンジニア(SAP、Oracleなど)の場合は、スキルセットによって役割が明確に分かれており、別チーム(プロダクトチーム・カスタマーサクセスチーム、開発チームなど)とのやりとりもあまり発生せず、スタートアップで求められるようなフレキシブルさに対応できないケースも見受けられます。

例えば、サポートが不具合を見つけて開発チームに報告する場合でも、エスカレーションのトリアージ担当チームがサポート側いて、そのチームで問題をトリアージし、さらにその後開発チームの中でのトリアージチームがいて、これらの二つのチームで確かに不具合であることを確認します。さらにその不具合が実際に修正されるには、=プロダクトチームへのエスカレートが発生し、プライオリティが決まる、という流れがあったりします。そのため、ある顧客のために何がなんでも直した方がいいなと思って、プロダクトに猛プッシュしていくとかそういったフレキシブルな対応をする発想がない人も多いです。

そのため、自分たちの求めるサポートエンジニア像をクリアにして、レジュメやインタビューでレビューしていくのが重要となります。

補足

英語採用について: 僕は英語ネイティブではなく、英語のディスカッションも不得手なので、インタビューで嘘発見期的なことはあまりできません。そのため、ちゃんとレジュメを前日に読んで過去に務めていた企業などのサービスを調べて、どんなサポートをしたことがありそうかを想定して質問準備をしています。

レジュメについて:応募があったレジュメはグローバルのサポートチームでの責任者である僕が全て最初に目を通しています。一つ一つ応募者に返信は残念ながらしておらず、面接しようと思った人にのみリクルーティング担当からコンタクトしてもらっています。レジュメを読んだら不採用でも理由のコメントしてあげたいですが、無限に時間を消費してしまうため、今のところできていないです。

どうやって候補者を見つけるのか?

一般の人でもしっているような企業(Amazon, Microsoft, Google, etc)であれば、自社企業の採用サイトだけで事足りますが、多くの場合には狭い界隈でしか認知されていません。例えば、弊社トレジャーデータも日本の全エンジニアの中の0.01%くらいしか認知されていないだろう、と想定しておく必要があります。そして、サポートエンジニアが何をするのか知っている人はさらにその中でも0.1%くらい、という肌感です。

そのため、採用方法の有効な手段としては、1 - リファラル、2 - 転職エージェント、3 -ビズリーチなどの転職サイト、になります。

社員の過去の同僚を紹介してもらうリファラルは、最も良い方法です。紹介する人も過去にいいなと思った人しか基本は紹介しないので、候補者の能力やカルチャーフィットの信頼性が高いからです。弊社の場合には、リファラルボーナスを出すことによって、社員により積極的に紹介してもらえるような制度を提供しています。 一方でリファラル採用は、社員の紹介できる人も限られていたり、紹介されたタイミングでは転職活動をしていないケースも多く、口説き落とす時間も必要になります。そのため、リファラルを主軸としつつも、他の方法での採用活動を行う必要があります。

次の有効は手段として、転職エージェントがあります。Twitter界隈ではエージェントは嫌われている様子を見受けられますが、良い転職エージェントが自社の担当になってくれると、非常に要件にマッチした良いエンジニアを紹介してくれることが多いです。そのためには、転職エージェントに自分たちの要件を伝えるミーティングなどを行ったり、紹介された人ごとにフィードバックをすることも重要です。 また、彼らの手元にいる候補者は、今転職したいエンジニアのため、応募から採用までが非常にスムーズに行えることが良い点です。 一方で採用にはコストがそれなりにかかります。多くの場合には、採用時の給料に対して2-3割の手数料を支払う必要があります。エンジニアの給料を1000万で採用した場合には、200万-300万を転職エージェントに支払う必要があります。

僕の経験では、リファラルと転職エージェントが日本での採用ケースの8-9割を占めています。

その他の方法として、ビズリーチやLinkedinなどの転職媒体を使うケースが多いです。この場合は、こちらからエンジニアにリーチしたりする必要があるため、採用専任の人がいないと手間がかかったりします。いくらメールを送っても誰からも返事がこないことも多く、強い精神力が必要です。

また、最近エンジニア向けの転職サービスが色々でていますが、それらの多くは(僕の印象としては)開発者向けであり、サポートエンジニアというゴリゴリの開発から離れるロールについては想定していないエンジニアが多いという印象があるため、僕自身は採用のためには使っていません。

海外の場合には、Linkedinは人気ですが、Glassdoorなどの媒体に出しているだけでもそれなりの応募者が来るので、こちらから積極的に探すことは少なかったです。ただし、これはマウンテンビューとバンクーバーだけで、イギリスで探すときはめちゃめちゃ大変でした。イギリスも日本と似ていて、イギリス本社のSaaSがあまり多くなかったり、サポートエンジニアで募集をかけると社内ITサポートのエンジニアからの応募が多く、ロール名をちょっと変えたりして、一人採用するのに半年-1年くらいかかりました。

おわりに

サポートエンジニアを採用する上で、候補者をみつけるまでの経験について簡単に書きました。気が向いたら、サポートエンジニアを採用する上でどんなところを気をつけるかについて書きたいと思います。