こんにちは。Treasure AI でプロダクトマネージャー(PdM)をしている高橋です。
社外向けのプレスリリースや採用スライドを見ると、「最先端のAIとゼロコピー技術を駆使したスマートな次世代CDP/MA」という非常にきれいで魅力的な言葉が並んでいます。
でも、実際の現場はもう少し生々しくて、泥臭くて、時にとてもタフです。今日は、ここ1〜2年の大型リプレイスプロジェクト(誰もが知っているメガブランドや金融機関などのリプレイス)を通じて、私がPdMとしてリアルに感じている「働く難しさと、その先にある面白さ」について、飾らずに書いていきます!
「ビジョン」と「デリバリー」の間の深い溝
最近の私たちの大きなマイルストーンに、大手企業に導入されていた他社大手MAを、私たちの Engage Studio や Composable Audience Studio へ完全にリプレイスするプロジェクトがあります。
提案のフェーズでは、私たちは自信を持ってこう語ります。
「データを無駄にコピーする必要はありません。ゼロコピーでDWHを直接叩き、自律型のAIエージェントが、あなたの代わりに最適なカスタマージャーニーを24時間自動で回し続けます」
経営層やマーケティング責任者の方々は非常に納得してくれて、「これでいこう」と合意が取れます。ここまでは完璧なストーリーです。
しかし、いざ実際のアプリ開発チームや現場の運用担当者との仕様定義に入った瞬間、PdMの前に「現実」という巨大なギャップが立ちはだかります。
- マーケター側が熱望する「こういう複雑な行動条件を満たした瞬間に、1秒も遅れずにリアルタイムで最適なアプローチを届けたい」という緻密なシナリオ要件。
- アプリ開発者側が懸念する「そんなに頻繁にデータ通信や判定を裏で走らせたら、アプリの挙動が重くなったり、バッテリーを消費したり、ユーザー体験(UX)を損なうのではないか」という現場のシビアな懸念。
「AIエージェントが自律的に動く世界」という美しい絵を描いたはずなのに、PdMである私がやっているのは、何百行もあるスプレッドシートのイベント要件定義書とAIと共ににらみ合い、プロフェッショナルサービスチームと膝を突き合わせて何をいつまでにデリバリーするかを擦り合わせる作業です。
ビジョンは100点。でも、実際のデリバリーやSDKの現場は、まだ10点や20点からの積み上げ。このギャップを、自分の手を動かし、エンジニアと設計を書き、チームを説得しながら一つずつ埋めていく。これがトレジャーAIのPdMの日常です。
トレジャーAIのPdMが日々やっている「具体的なワーク」
「プロダクトマネジメント」というと、ロードマップを華やかに語る仕事に見えるかもしれません。しかし私たちの日常のワークは、驚くほど徹底的に「現実のトレードオフとの戦い」です。
例えば、まさに今、私が格闘しているのは、とあるMAリプレイスのリリース期限が決まっている中で、何をデリバリーしてどのようなユースケースを解決し、何をデリバリーしないでワークアラウンドやカスタムソリューションで対応するかを決めることです。エンジニアリングのリソースは有限です。ここでPdMに求められるのは、単に「開発を急いで」とハッパをかけることではありません。
仕様の「骨抜き」ではなく、本質的な「MVP(最小限の価値)定義」をやり切る
-「本当に今回のユースケースを動かすために必要な機能は何か?」を徹底的に分解します。 - 結果として、「あれば嬉しいが、後からでも対応できる機能(Post-MVP)」をロードマップから剥ぎ取り、バックログへ後ろ倒しする決断を下さなければなりません。
「アーキテクチャの妥協」を防ぐための設計決定への介入
- UIの裏側での自律的なAI判定を矛盾なく両立させるためには、システムのコアなデータ処理構造にまで踏み込む必要があります。
- 単に「こういう仕組みにしてほしい」と開発側に投げるのではなく、技術的なボトルネックがどこにあるのかをエンジニアと一緒に整理し、製品の美しさを保ちながらも「これなら短期間でクリーンに開発できる」というシステム全体の落としどころ(設計の方針)を、チームを巻き込みながら形にしていきました。
ロードマップの「線」を引く時間よりも、こうした「諦める機能の優先順位づけ」や「開発を阻害しないための綺麗なシステム設計の落としどころ探し」にこそ、PdMとしての時間と脳のメモリの大半を割いています。
グローバルに散らばるエンジニアと、世界中の顧客たち
そして、この仕事をさらにエキサイティングに(そして時々カオスに)しているのが、「国境のないものづくり」です。
時差と文化を越えて「本物」を作るエンジニアチーム
私たちの開発チームはグローバルに分散しています。
US、EMEA、日本のエンジニアが、それぞれの時差やカルチャーのバックグラウンドを持ちながら協働しています。
英語でのミーティングや、テキストコミュニケーション(SlackやGitHub、Confluence)が基本になるのですが、彼らは様々なバックグラウンドや知識を持つ彼らには、「なぜこの機能が今必要なのか?」「なぜこのAPI設計でなければならないのか?」をビジネス背景も含めて説明し、納得してもらう必要があります。
週の始まりには、各国のリードエンジニアたちと週次で優先順位や実装のギャップを話し合います。 技術的な制約やビジネス的な要件をすり合わせ、プロダクトをデリバリーし、顧客が利用していくという一連のフローは非常にやりがいのあるものだと思います。
1つのコア製品を、世界中のバラバラな顧客ニーズに適用する
もう一つの難しさは、お客様もまた「世界中」にいて、それぞれ全く異なるデータ文化やインフラ環境、商習慣を持っていることです。例えば、
- US・EMEAのエンタープライズ顧客: 一カ国の話ではなく、複数カ国での利用に展開していくことが面です。それに伴ったガバナンスやセキュリティやプライバシー(GDPR/CCPA)への基準が極めて厳格で、オペレーションモデルがそれぞれ異なります。
- 日本のエンタープライズ: 様々なパートナー企業が運用に携わるため、直接の顧客だけでなく、パートナーも含めたEnablmentが不可欠です。
これらを前にした時、「国や顧客ごとに個別カスタマイズをして別製品を作って逃げる」という安易なアプローチは、グローバルSaaSとしての死を意味します。
「それぞれの地域が求める極めてシビアな要求を、どうすれば『1つの美しく汎用的な共通プラットフォーム』の機能として美しく吸収できるか?」これを考え抜き、世界中で動くプロダクトのコア設計に落とし込んでいくことこそが、グローバルPdMとしての最もエキサイティングなミッションです。
なぜ、このカオスを楽しめるのか?
ここまで読んでいただいて、「ずいぶん大変そうだな」と思われたかもしれません。実際、楽な仕事ではありません。 様々のトレードオフ、言葉や時差の壁、そして多種多様な業界のお客様。
でも、だからこそ、「自分が決めたロードマップと下した意思決定が、グローバルな市場の勢力図を直接塗り替える瞬間」を目の前で見られる興奮があります。
私たちは、言われた通りの仕様を綺麗にまとめるだけのPdMではありません。
世界トップクラスのエンジニアと、グローバル企業の超リアルな現場課題を繋ぐブリッジであり、市場の新しい標準(デファクトスタンダード)を本気で作りに行く存在です。
私たちが一緒に働きたい仲間
- ビジョンを描きつつ、仕様書やシステムフローを厭わない人:「AIで世界を変える」と真顔で語りつつ、「で、SDKの仕様書チェックするね」と腕まくりして詳細を詰められるバランス感覚のある人。
- グローバルな環境で、オープンに議論を楽しめる人: 英語でのコミュニケーションや、異なるカルチャーを持つ多国籍のメンバーと「お互いの専門性をリスペクトしながら」議論を重ね、チームを一つの方向に導くことにワクワクできる人。
- 安易に「他社のマネ」をしたくない人:「他社にあるからその機能を作る」のではなく、「顧客が本当に解決したい課題は何なのか? AIの力を使って、もっとスマートに解決する方法はないか?」を世界レベルで考え抜ける人。
- データモデリングやSQLに知的好奇心がある人: DWHのフェデレーションクエリの仕組みや、パフォーマンスチューニングの議論を聞いて、技術的な面白さを感じられる人。
おわりに
流行りで消えていくプロダクトではなく、グローバル市場に残り続けるプロダクトを、私たちと一緒に泥まみれになりながら磨き上げてみませんか?
この少し泥臭くも知的なカオスを、「面白そうだ」と感じてくれたあなた。 ぜひ、カジュアルにお話しさせてください。
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