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読書メモ: ビジネスダッシュボード 設計・実装ガイドブック 成果を生み出すデータと分析のデザイン

昨年度出版された「CDP活用の最適解を導く事例から見えてくる、人材、プロジェクト、組織の在り方」では、CDPにおける組織設計やプロジェクトの全体設計の話を中心としたコンサルティング的な側面の知識を補完するための書籍でした。

一方で、今回出版された「ビジネスダッシュボード 設計・実装ガイドブック 成果を生み出すデータと分析のデザイン」は、トレジャーデータのプロフェッショナルサービスチームが中心となって書いたデータ分析のために構築されるビジネスダッシュボードの設計・デザイン・データ準備に焦点を当てた解説書になってます。特にビジネスダッシュボードを通した可視化は、プロジェクトが進み、実際に現場や役員など様々な協力者に対して施策の成果を見せる上で重要な取り組みです。これまで大きなプロジェクトで可視化に関わる活動をしたことがなかったアナリストやプロジェクトマネージャー、エンジニアなど幅広い方に対しての入門書と言える内容になっています。

どんなBIツールを使っていても、そのツールを使って本質的にどんな問題を解決して、誰にどんな形で伝えるのか、そうしたことが抜けていては何も意味がありません。それらを考えずにダッシュボードを作っていると、”作ったけど誰も使っていないダッシュボード”問題に陥りがちです。それは、ビジネスダッシュボード構築においてもソフトウェア開発と同様に要件定義やマイルストーンの設定など基本的なやるべきことをやる必要がありますが、BIツールを使うと可視化自体は気軽にできてしまうため、そうした面倒な開発プロセスを端折りがちで、独りよがりのダッシュボードを使ってしまうのが原因の一つではないでしょうか。

しかしこの書籍を通して、全社的に展開していく上ではそうしたプロセスを適用する重要性が十二分に伝わるのではないでしょうか。

この書籍で良いなと思ったところの一つとしてはダッシュボードを構築した後の運用・レビュー・サポートについての紹介もあることです。前述でも述べましたが、どんなに素晴らしいダッシュボードを作ってもユーザに使われなければ意味がありません。使われるダッシューボードになるためには、様々な人と事前の認識合わせをすること、そして作った後のフォローアップが何よりも重要だと思います。そういった点まで行き届いて網羅されているのが、顧客に対して普段から同様の支援をしているプロフェッショナルサービスチームのメンバーが書いた書籍ならではと思いました。

データと可視化は切ってもきれない関係です。この書籍を通して、不毛なダッシュボード作りが減り、データとダッシュボードを通してより良いアクションをしていけるようになるのではないかと思います!