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SaaSの企業価値とマルチプル評価とRule of 40

スタートアップで働く上で、IPOは一つのゴールだ。自分たちのビジネスが高く評価されることで、ストックオプションの価値があがり、ビッグなリターンが期待できる。

一従業員として、IPO時の自分たちの価値を妄想するための指標は様々なある(らしい)が、その中でも売上高成長率(Revenue Growth)とRule of 40という二つが有名どころのようだ。

Disclaimer: 僕はエキスパートではないので、過去に色々聞きかじったものを元に調べて書いているだけなので、ざっくりとした内容になるし、不正確なこともあるので、キチンと自分で調べましょう。

売上高成長率(Revenue Growth)について

SaaSのIPO時の時価総額を予想する上で、売上高成長率(正確には、予想売上高成長率が重要らしい)が一つのマルチプル評価の重要な要素となっている。(マルチプル評価とは、類似した上場企業の評価倍率を元にして、対象となる企業の価値を算出することです。)

下図は、2018-2019年にIPOを行った企業の売上高マルチプル(EV/Revenue)とそのマルチプル評価の関係性を表している。 X軸の売上高成長率が高ければ高いほど、Y軸で示される通り、企業の評価額が何倍にもなっていくというものだ。

例えば、売上高成長率が40%で、現在のARRが1億ドルで上場すると、企業価値が12倍くらいの12億ドルくらいで評価される、ということになる。(超ざっくりすぎるが) つまりIPOを目指す企業にとっては、売上高成長率を伸ばすために、顧客の平均単価が上がるようなプロダクトにしたり、アップセルがしやすい機能だったり、新規のマーケットを開拓するなり、といった施策を、過去の体験も踏まえて戦略的に考えていかなければならない。

f:id:toru-takahashi:20210421191113p:plain 引用: SaaS IPO Benchmarking | ARR at IPO | by Aman Verjee | Medium

売上高成長率が高いと、企業価値が高い、っていうのは至極当たり前のことだが、どういった傾斜で評価が上がっていくのか、というのを知るのは重要だし、自分たちの売り上げを上げるためのモチベーションにもつながるのではなかろうか。

Rule of 40について

Rule of 40は、ベンチャー企業へ投資を検討する際に、企業のビジネスの健全性を図るための一つの基準になっている。 具体的には、売上高成長率 (growth rate) + 営業利益率 (profit rate)が40%以上だと、ビジネスの状態が健全ということになる。

つまり、売上高成長率が前年比60%の高成長を示しているなら、利益率が-20%の赤字になっていても、ビジネスとしては健全であるということを示している。 一方で、売上高成長率が20%くらいにもかかわらず、利益率もマイナスだとビジネスの状態としてはよくないと、投資家とかには見られやすいといことなる。

この基準は重要で、売り上げを伸ばせるならば、コストがかかっても人をいっぱい雇ったりすることを検討したりしてもよいということになるし、 一方で成長率が停滞しているときは、コストを削って利益率を高くしていくというのが重要になってくるということになる。

エンジニアにとっては、インフラのコストなどがダイレクトにこの指標に与えてくることになり、 システムのパフォーマンスを良くするために無限にスケールアップしたりスケールアウトできないのは、当然コストが悪くなるからで、この利益率を高く保っておくということは非常に重要なことである。 つまりいかにシステムを効率的に動かして低コストに運用できるようにして、顧客あたりの利益率を高くすることに貢献することが、ある種、企業価値に大きく反映させることになる。

下図では上場企業のRule of 40%と売上高マルチプルを比較している。母集団が0%-40%のあたりに集まっており、Rule of 40%を満たしていると売上高マルチプルが約20倍程度高く評価されているということになっている。

f:id:toru-takahashi:20210421193627p:plain 引用: SaaS銘柄を評価する指標「40%ルール」の有用性を考えてみる。40%ルールを使用して現時点の買い推奨銘柄を探してみた。|米国企業を中心とした株式投資に役立つ情報マガジン|note

おわりに

上記はあくまでも企業価値を図る上での指標だが、きっとマネジメントレイヤーの人たちはこうした指標を元にした会話を投資家なんかからもされたりするのではなかろうか(知らない)。 一従業員としても、どんな指標を持って自分たちが評価されているかを認識しておくことで、自分たちの仕事がいかに自社にインパクトを与えることができるかを考える手助けになるのだと思う。